- 2022.07.27
- MMS WingEarth
大陸建設株式会社
ICT舗装工におけるMMS利活用とその効果
100ビジョンカンパニーを目指して、北海道では先駆けてMMSとWingEarthを導入した大陸建設株式会社様。MMS点群から路面性状データを収集し、MCI(Maintenance Control Index:舗装の維持管理指数)を出すことによって、工事区間の選定、工事の施工方法を検討するような提案型の路面計測を行っています。
MMSを導入した経緯
MMSを導入する以前の機器というのは、路面計測の時間が非常にかかっておりスピーディーに出来ない、また交通規制をかけなければ計測をすることが出来ないことに、少し閉塞感を感じていました。その閉塞感を打破するものはないかとずっと模索していたところ、ある時インターネットでMMSを知り、そこからMMSに非常に興味を持ち、色々と調べアイサンテクノロジーに辿り着きました。すでにアイサンテクノロジーがMMSで計測済みの路線があることを知り、弊社の計測機器を私一人で持っていき、現地を調査、同じフィールドを計測、データ検証をおこないました。検証結果は路面のわだち掘れ、形状がほぼ一致しました。
相対形状が一致していることから、使えると確信しました。様々な検証を行った結果、疑問が確信に変わり、導入をしようと進めた経緯があります。
使えると感じたとのことですが、御社ではどのように使用できると考えましたか?
私は舗装の調査に携わっていたので、まず従来の路面計測に応用できると確信を持ちました。それに加えて路面性状業務に使用できると思い、試しに使用してみると、ひび割れ、わだち掘れ、平坦性、これらも同時に取得できることが分かりました。路面性状調査に応用出来ると思い、一般財団法人土木研究センターの路面性状自動測定装置性能確認試験にエントリーし、合格することができ、業務の幅を広げることが出来ました。
MMSを導入したメリット
以前は路面にマーキングした測点でしか管理出来ませんでしたが、MMSでデータを取得することで面的な管理が出来るようになりました。例えば工事施工区間が延長になったとき、すでにMMS点群があれば現場に再度赴かなくても、データを解析出来るというメリットがあります。また、MMS点群から今までは取得出来なかった路面性状のデータからMCIを算出することによって、工事区間の選定、工事の施工方法を検討するような提案型の路面計測ができるというメリットがあります。
提案型の路面計測とは?
当初の施工区間に対し、「工事区間内でもっとわだち掘れが深く、車両が大きく揺れるような段差がある場所はこの辺りですよ」といった施工区間の提案、また当初設計が表層のみの切削オーバーレイ工法に対して、路面性状調査の結果と詳細調査(切取コア採取やFWDなど)の結果から、「この区間はひび割れ率が診断区分Ⅲで、ひび割れが表層を貫通し基層まで及んでいるので表層・基層打換え工法が望ましい」といった工法の提案など以前より進化した路面計測です。
3台目を導入しようと思った決め手は?
当初、弊社では舗装の工事のみにしか使用することを考えていませんでした。しかし、電線の計測や自動運転の高精度地図の整備など、当初想定していなかった業務に運用できたことが決め手の1つです。そのため稼働率が高くなり、2台では足りなくなったので、3台目を導入することとなりました。また、現在国土交通省では切削オーバーレイの調査の前に、路面性状を調査し、MCIを算出して、舗装の工法を提案してから施工という流れになりつつあります。それに伴い、路面性状調査の依頼が従来よりも増えてきたこともあり、業務の効率化を計るために、新しいシステムを3号機に導入することを決めました。
想定外の業務ができると分かったきっかけ
アイサンテクノロジーから業務を紹介して頂き、MMSを使用している中で、弊社で応用できることがあると気付きました。
現在導入されているMMSは全てタイプの違うMMSですが、それぞれの特徴を教えてください
1号機は、これまでに無かった1秒間に100万点のレーザを放射する、高密度レーザと呼ばれるスキャナを搭載しています。それに伴い、Googleストリートビューのような全周囲画像を取得出来るLadybug®システム、舗装路面の外側車輪通過位置(OWP)の平たん性σ・IRIを取得出来る三点変位計システム、このようなものを搭載しています。2号機は高精度IMUを搭載し、1㎜以上の幅のひび割れを撮影できる路面カメラも搭載しました。また、1号機にはなかった高感度カメラ(夜間でも見えやすいカメラ)も装備しています。
MMSを導入して、現場の方々からの評価は?
やはり1号機に比べてIMUが高性能になったことで、取得データの安定化がはかられています。
「高さ精度が以前より優れている」「今までは横断のロール誤差が大きかったが、MMS-Gはかなり改善され補正がほとんど必要なくなった。」このような声を聞いています。
さらに、「点密度が非常に濃いので舗装にすぐ応用出来るというメリットがある」と、当社スタッフから聞いています。
WingEarthの使用感
Wing Earthは弊社の高密度点群のデータを加工なしで直ぐに読み込めるシステムで、MMSからの連携がスムーズにおこなわれます。
点群を高速に描画する機能も付いていて、非常にスピーディー且つ軽く動かすことができます。また、そこからビューワーデータを連結して作ることができ、ICT舗装に対応するヒートマップ、出来形管理にも対応していて、お客様からも好評を得ています。
WingEarthに今後期待すること
現在はMMS-Gのデータからビューワー作成は出来ないのですが、アイサンテクノロジーは弊社の要望を聞いて、すぐに対応頂いているため、こちらもご対応いただけることを期待しております。
今後MMSに期待すること
現在弊社では、大学と共同して舗装路面の診断研究を進めています。この研究には北海道開発局様、関東地方整備局様に現場フィールドを提供して頂き、協力して頂いています。MMSの大規模点群を舗装診断に使えないかと考えており、良い成果が出そうな希望を持っています。
今後アイサンテクノロジーに期待すること
アイサンテクノロジーとは、約10年前のMMS導入検討からの付き合いになります。
弊社からのMMSの運用の質問、導入したソフトの疑問点など親身になって相談に乗って頂き、何かあればすぐに対応してもらっています。
アイサンテクノロジーは、業界の新しいMMSの使い方にとても力を入れていて、非常に心強い存在であり、新しい業界の発展やソフトの新しい使い方など、今後も非常に期待しています。
大陸建設株式会社
常務取締役
櫻庭 晃 様
アイサンテクノロジーを知ったきっかけ
MMSと初めて出会ったのは北海道の展示会でした。当社はレーザー式横断形状計測業務を手がけていて、もっと効率のよい計測器を探していたので、これは丁度良いと思いました。しかし、当時は弊社が求めている精度が出ていなかったため、購入には至りませんでしたがその後、MMSがどのように進化していくのかを観察し、弊社が求める精度が出たタイミングで、アイサンテクノロジーの事務所に伺い、初回の説明を受けました。それがアイサンテクノロジーとの出会いです。
MMS導入のエピソード
アイサンテクノロジーから初回の説明を受けた際、私も担当役員もMMSにとても魅力を感じました。大変高価な計測器でしたが、生産性向上には大きな武器になると思い、導入の検討を始めましたが、当時は会社として余裕があったわけではなく、1億円を超える投資となるため非常に悩みました。最終的には担当役員のMMSへの熱意に後押しされ、導入を決断しました。
MMSの魅力
1回の走行で、莫大な点群データが取れるということが一番の魅力です。
以前の弊社の路面計測の方法は、交通を遮断して、担当職員が道路上で長時間作業をするという非常に危険な作業でした。しかしMMSは通常走行で多くのデータを取得できるため、以前に比べると危険性も大幅に減り、スピーディーに効率よく作業することができます。
3台目のMMSを導入する理由
今回の導入に関しては、仕事の幅を増やすということが一番の理由になります。
3台目は路面検査コンパクトユニッ卜PG-4の搭載が可能であり、特にひび割れの計測・データ処理の大幅な時間短縮が望め、空いた時間をMMSの稼働に使用できるようになることを見込んで導入することになりました。
今後MMSとアイサンテクノロジーに期待すること
国の測量で3D計測が使用できるようになったため、将来の稼働率は上がると考えています。
大量の点群データを取得できるので、二次利用を含め、従来の使い方の他に、新たな活用方法も一緒に開拓していきたいと思っています。
これまでも献身的にサポートをして頂いていましたが、引き続き仕事に穴を空けないようなサポートを期待しています。
御社の今後の抱負
「何か困ったことがあったら大陸建設に聞いてみろ。」そう言って頂けるようなワンストップ企業を目指しています。
従来から業務を100事業に広げていくという【100ビジョンカンパニー】を目指しており、まだ10事業にも満たないですが、夢は大きく、じっくりと広げていきたいと思います。
大陸建設株式会社
代表取締役
土屋 憲幸 様
使用ソリューション
インタビューさせていただいた企業様
大陸建設株式会社
代表取締役
土屋 憲幸 様
大陸建設株式会社
常務取締役
櫻庭 晃 様
大陸建設株式会社
- 創業:
- 昭和23年
- 本社:
- 北海道釧路市
- 資本金:
- 2,800万円
- 代表者:
- 代表取締役 土屋 憲幸
- 社員数:
- 60名
事業内容
■土木・建築・舗装工事一式・除排雪
■工事測量・GNSS測量・電子納品・各種図面作成業務
■MICHIシステム・道路工事完成図作成業務
■情報化施工(TS出来形・MC・MG)
■MMS(モービルマッピングシステム)
■レーザ式横断形状計測業務
■TLS(地上型レーザスキャナ)
■路面計測(LP2000シリーズ・ROPO)・平たん性試験(LP3000・MRP3000)
■土木・舗装用各種ソフトウェア開発