導入事例

2024.05.01
WingEarth

土地家屋調査士法人 中部測量登記サービス
WingEarth と3 次元データの活用で、 地域や災害対策に貢献したい

名古屋市市政資料館の側に事務所を構える土地家屋調査士法人 中部測量登記サービス様。
測量や土地家屋調査を中心に業務をされております。コロナ禍を境に3 次元点群データを扱い始め、さまざまな研究成果を踏まえ、新たな測量体制を構築しようと取り組まれてきました。過去の体験を元に、測量や土地家屋調査の形態を改良し、さらなる正確化、効率化に取り組んでいます。特に3 次元データ計測における高精度プロトコルに対する思いは強く、トップランナーとして3 次元データの有用性を多方面に示しています。
また、行政との連携を図りながら、未来の地域貢献や災害対策への取り組みを中心に、3 次元データの具体的な応用先の模索もされています。
県内の土地家屋調査士では3 次元レーザスキャナ購入者が数名程度という中で、3 次元データに対する思いとWingEarth に対する期待について、代表の間瀬元康様にお話を伺いました。

 

間瀬様のこれまでの経歴と測量業務に携わり始めた背景は?

専門学校卒業後、土地家屋業務、土地測量を主な仕事として30 年従事してきました。
最初に入社したコンサル会社では、ゴルフ場開発をメインに行っていました。
その後、知人から紹介を受けた土地家屋調査を事業としているコンサル会社への転職を経験し、現在に至っています。
土地家屋調査に携わるにあたって、測量業務は必須でした。当時は設計を行うソフトウェアツールのCAD も世に出たばかりの時期で、使いこなすまでに時間がかかりました。特にペンプロッターを用いてプリントする際は、常にインク切れを目視で確認する必要があり、あらゆる点で人間がモニターすることに労働時間を割いていた記憶があります。また、当時の測量は取り忘れなどもあり、再測量のため非効率な時間を費やしてしまうこともありました。これまでにたくさんの苦労もありましたが、今となってはこの職業を紹介してもらったことが運命だと思っています。

3次元点群データを土地家屋調査士業務に取り入れた経緯は?

今後、測量技術者の減少が予想され問題視されている中で、従来の測量業務には改善点が多数あったため、改善していこうというモチベーションが以前からありました。また、3 次元点群データに移行していくことは避けられない状況にあったので、いいタイミングを探していました。そんな折、コロナ禍に突入してしまったのです。仕事量が減少してしまった一方で、研究に時間を充てられることに気がつき、取り組んだのがきっかけでした。県内の土地家屋調査士で3 次元レーザスキャナの購入者は数名ほどで前例が少ないことに加えかなりの高額品でしたので、心配がありました。購入を検討したタイミングが、ちょうど名古屋市のものづくり補助金の募集期間であることを知り、ピンチをチャンスに変える思いで応募しました。その結果、幸運にも採択いただき補助金も含めた形で予算を工面できたので、非常にありがたい思いでしたね。

購入した後、どのような取り組みから始められたのですか?

3次元点群データを活用することで、測量時間の改善や新たな測量の規格を確立できないかについて検討を始めました。やはり一連の作業が標準化されないと、取引先によって差異が生じる可能性があると考えたためです。これは現在も模索中で、大変な業務だと感じています。
ただ、先端技術に触れながら業務を行っているので、自分がトップランナーのような非常に新鮮な気持ちで取り組むことができています。

3次元点群データを導入して業務がどう改善しましたか?

越境物の確認や現況平面図に対しては、短期間で非常に効率の良い計測が可能になりました。この2 点は、お客様に対して視覚的に見せるのが難しい部分であるため、説明に時間がかかっていたのでとても助かっています。この点について、従来は感覚的な説明だったためお客様のもとへ何度も訪問していたので、大きな改善点だと考えています。
やはり3 次元点群データがあると実際の建物や土地のイメージが伝わりやすいため、土地勘のない方でも客観的な議論ができる点も新しい気づきでした。
特にオンラインでの打ち合わせでは、遠隔地から参加される初めての方も多いのですが、現地の3 次元点群データで説明していると皆さんが理解されているのがわかります。3 次元点群データを導入したことで、お客様の安心感が飛躍的に上がったことを実感しましたね。
さらに、冒頭で触れた再計測の必要がほぼなくなりました。これは、360°の視野データを数分で取り込み、事務所での再構築作業が不要になったためですが、とても重宝しています。おそらく、従来の測量時間の半分以下に低減できていると思います。

測量スキル習得への時間はどう改善しましたか?

かつては、新人測量士が一般的な測量スキルを習得するのに2 ~ 3 年を要しましたが、3 次元点群データを使えば、1 年以内に通常業務をこなせるのではないでしょうか。測量士の仕事は現場の測量だけではないので、現場作業の低減とスキルアップの効率化は、働き方改革に沿った改善だと思っています。
現況測量図は、WingEarth に置き換えています。現場のデータを事務所のPC から確認できるので、測量当日に気づかなかったポイントをデータで振り返ることができる点は大きな改善です。
また、次期バージョンアップでは、ドローンなどの写真データと3 次元点群データを幾重にも重ねられるフォトグラメトリー機能があると聞いています。
他メーカーにはないアイサンテクノロジーさんのオリジナル技術ですので、非常に楽しみです。また、2D データを扱うWingneo®INFINITY との融合性も高まるので、さらに直感的にお客様との打ち合わせが可能になると想像しています。

WingEarth を導入することで、業務がどのように変わってきましたか?

現況測量図は、WingEarth に置き換えています。現場のデータを事務所のPC から確認できるので、測量当日に気づかなかったポイントをデータで振り返ることができる点は大きな改善です。
また、次期バージョンアップでは、ドローンなどの写真データと3 次元点群データを幾重にも重ねられるフォトグラメトリー機能があると聞いています。
他メーカーにはないアイサンテクノロジーさんのオリジナル技術ですので、非常に楽しみです。また、2D データを扱うWingneo®INFINITY との融合性も高まるので、さらに直感的にお客様との打ち合わせが可能になると想像しています。

3次元点群データを扱う際の課題を教えてください

いくつかの課題も認識しています。
まず、データが大量に存在するため、思考中の業務に応用するにはもう少しデータを減らす必要があると考えています。特に、点群データはすべて表示するとPC への負荷が大きく、時間を要します。「面処理をしたソリッド形状などに変換できると改善できるのではないか」と考えています。また、雨の日などは計測ができないため、3 次元点群データの改良に期待したいです。
他にも数種類あるターゲットのうち、選定したターゲットによって、3 次元点群データの計測間隔や境界領域のエッジ部分を考慮する必要があります。
このあたりは、3 次元点群データの計測の規格として、もう少し検討が必要だと考えています。
特に精度を上げる場合は、計測間隔距離を10m程度とさらに細かく刻む必要があるため、どうしてもデータ量が増えるので、用途に応じて使い分ける必要があります。
細かい点としては、エッジ部分にかかる草木などは事前に清掃したり除去したりするなど、前処理が重要なポイントになります。
さらに、3 次元レーザスキャナとドローンを組み合わせた計測を行った場合、両方とも高額な機器ですので、保守サービスの充実も必要になるでしょう。
特に不慣れな人は、器材トラブルを引き起こす可能性がありますので、十分検討されたほうがいいと思います。強風や不安定な足場での使用においても、同様です。

WingEarth に今後期待したいことは何ですか?

3 次元レーザスキャナとドローンを組み合わせた規格が確立すると、精度数cm の測量が可能になると考えています。この精度であれば、遠隔地から震災地の家屋や周辺状況の把握が可能となり、視覚的に伝えることができるため、WingEarth のさらなるニーズが高まると考えます。特に震災直後の場合、現場を訪れること自体が困難だと思いますので、この組み合わせを早急に確立して、有事の際に貢献できるよう努めたいです。そのためにも、アイサンテクノロジーさんのさらなるお力添えをお願いしたいです。
また、WingEarth 上での色相の自動調整やマニュアル調整機能などが追加されると、現場と事務所の感覚的な差異が緩和されるので、期待しています。
さらに、他社の測量ソフトから一部の3 次元データをインポートする機能もお願いしたい点です。面処理された形で表示されるとデータ負荷を気にすることなく扱え、他社製品との差別化に繋がるのではないでしょうか。この機能があると、建物を移動させたり変更させたりするシミュレーションが可能となるので、一定のニーズがあると考えています。
また、自治体に対して3 次元点群市街データを定期的に取得し、時系列の差分データを扱える機能も土砂災害や河川氾濫(はんらん)の予測という観点で有効だと考えていますので、WingEarth にはそういった機能も期待したいです。

間瀬様が現在構想中の案件について教えてください

やはりドローンと3 次元レーザスキャナの融合が、最大の夢になります。災害などの緊急時だけでなく、さまざまな用途で社会への貢献を摸索したいです。
特に、ドローンに関しては市町村などの自治体との連携が必要不可欠ですので、標準規格を定めて、測量士や土地家屋調査士の業務改善を促していきたいと思います。
すでにドローンの導入や法的な手続きは完了していますので、いよいよこの分野でのサービス提供を本格的に考えています。標準規格の制定やWingEarthの利用によって、お客様に対して包括的なサービスの提供ができるような事業をぜひ検討していきたいです。
また、3 次元点群データが一般に普及する案として、お客様の家屋データをアルバムのような形で保存していく業種や地方の空き家問題について土地家屋調査士のネットワークを使って3 次元点群データを普及させる枠組みも検討したいと考えています。空き家問題に関しても、先ほど触れた災害の構想案も、地域の人々に貢献することを目指していますので、何か参考意見があれば、ぜひお声がけいただきたいです。

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インタビューさせていただいた企業様

間瀬 元康

土地家屋調査士法人 中部測量登記サービス

代表取締役

間瀬 元康 様

土地家屋調査士法人 中部測量登記サービス

本社:
愛知県名古屋市
事業内容

● 測量登記業務

導入事例 Case studies

製品別
MMSWingEarthWingneo®INFINITYLasPort

導入企業情報

間瀬 元康

土地家屋調査士法人 中部測量登記サービス

代表取締役

間瀬 元康 様

土地家屋調査士法人 中部測量登記サービス

本社
愛知県名古屋市
事業内容

● 測量登記業務